あ、これは。
私、初めて口唇ヘルペスになりました。
まだ、若かりし頃、初めての海外研修に行ったとき。
イギリスのロンドンにある、ヴィダルサスーンの学校に短期で勉強をしにいろんなお店から集まった人たちと行ったことがあります。
私は同期の女子と一緒でして、知らん店のはじめましての人が5人ほど。
確か大阪で美容室を経営してるか、でっかい店の店長さんとその奥さん、埼玉の明るい女子、若いけど子持ちの男子、私と同期の女子、そして、韓国の名前なんだったけな・・・その人と。
私と同期、男子と埼玉女子はだいたい年が近くて初めてのロンドンに浮き足立ってます。
店長さんご夫婦、今思うとほんとにいい方たちで、困ったら何でも言うんだよと私たちに声をかけてくれたりして、できる大人だわぁなんて思っていました。
埼玉女子は実は2回目らしく、私と同期、男子とは違うコースを受けるそうで。
私たち3人は基礎コース的なやつで、あとの4人は玄人コースみたいなやつで。
地下鉄のフリーパスみたいな物を買いに行き、夕ご飯をみんなで食べたり、親交を深めようと大阪ご夫婦いろいろしてくれました。
次の日から学校です。朝ご飯食べてると、地下鉄わかる?今日はみんなで行こうかなんて声をかけてくれる夫婦。やさしい。
私たち3人のが先に降りる感じだったと思います。じゃぁね、気をつけて行くんだよなんて背中を押していただいて、3人で学校に向かいました。
いろんな国のいろんな美容師さんが勉強したくてここにきてるのかぁなんて緊張しながら席に着きました。
ほかのツアーで来ている日本人も6人ほどいました。その人たちはもうすでにパリなどを経由して最後にロンドンで研修らしく、プラダのスニーカー履いてたり、パリで散財しましたね・・と思って眺めていました。
店の先輩にとにかくモデルを切らせてもらえるように、どんどん私切ります!!と前出て、どんどんカットモデル確保しろ!と教えられたのですが、ほかの国の美容師、圧がすごいのと、モデルをより好みする。
おまえら、いつだって柔らかいくせ毛切れるだろうよ、このジャパニーズに譲れよ、このばか。
本気で思いましたよ。
私の第一回目のモデル?外人さん?
ええ、外人さんですよ。
韓国のかわいい女の子。
直毛の。すんごい直毛の。ほぼいつも日本でカットしているのと変わらない髪質を。
襟足にクセがある、なかなかの髪質をね。あの、オーストラリアのあいつこそ、これだろうよ、あいつアホか・・・初日から心の中で悪態ついてましたよ。
でもすごくかわいい、そして優しい女の子だったので心穏やかにカットできました。
その夜もみんなでごはん食べました。
何食べようかなんてワクワクしてきょろきょろしてました。
韓国人のあの人が辛い物食べたそうだったので、たしか中華を食べたと思います。
みんながこれ辛いねぇなんて言ってる中、あの人はどこが・・・というような顔をしていました。
だんだん大人チームがギクシャクしているようでした。
あの人のわがまま?自己主張?が強すぎて、みなさん辟易しているようでした。
その日の夜もごはんを一緒に食べました。
今日はみなに会わせて、あの人は中華や辛い物をあきらめたようでした。
そこまで一緒に食べなくてもよかったのに・・・と今なら言えますが、そのころはまだ言えませんでした。
みな、隣に座るのもいやみたいで、私、隣の席になりました。
何を食べたか少し忘れてしまっていますが、お米があったのは確かです。
あの人、辛くない、はぁぁみたいな感じを出しつつカバンをがさごそしています。
お前、自分が食べたいものばかり訴えるんじゃねぇ。少しくらい我慢しろよ・・・隣の席で私は思いました。
あの人、カバンから小さい旅行用の歯ブラシセットに入っている歯磨き粉みたいなチューブが4~5本入っているビニール袋を取り出しました。
え・・・歯磨くの?ごはんの途中で??どうした、どうした・・・と思っている私の横であの人、チューブの中身を白米へ、歯ブラシに歯磨き粉つけるみたいにだぁ~~っと出しました。
おいおいおいおい・・・・なにしてやがる!!
白米の上が赤く染まっています。もうわけわかりません。
私、もう、釘付けですよ、あの人に。
あの人、そのお茶碗持って、ぐるぐるかき混ぜはじめました。
紅白になる白米。それを、口へ運ぶあの人。
うん、これこれ!!みたいな顔でこちらを見てきます。
辛くておいしい!!って顔です。私は苦笑いしたと思います。すると、あの人こう言いました。
「若林も、食べる??」
「食べない」
若林、食べる?呼び捨てだし、お前、あの優しい大阪夫婦を困らせやがって。
今だったら、三村みたいに「いや、食べねーし。」ってでかい声で言える。
あのときに戻って言いたい。あいつに。
チューブ入り、練られている唐辛子。はじめて見ました。
次の日、あいつのせいで大阪いい人夫婦の旦那さん、口唇ヘルペスになってました。
そう、そのときはじめて口唇ヘルペスという名前を知り、ストレスや免疫力低下でなると知りました。
ここのところ、息子のコロナ感染により、家族とずっと一緒にいた、一緒といっても会話がすごくある家でもないし、各自やりたいことやっていたのでなぜ・・・?と思いました。
ずっと一緒にいる。たぶんこれだと思います。
ストレスとは感じていなかったけど、体はストレスを感じていたのか。
私はずっと一緒になんていたくないのかとわかってしまいました。
ヘルペスの件は娘にしか言っていません。
娘、笑ってました。
これを見るたび、ヘルペスとあいつを思い出すのです。
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